紅葉を観に巨大な虎がいる??奈良の『信貴山・朝護孫子寺』へ行ってみた

信貴山 朝護孫子寺

 大阪と奈良の県境にある山、「信貴山」には『朝護孫子寺』という1000年以上の歴史を持つ古刹が有ります。

 この寺院が在る場所は、仏教が伝来する前から神道の聖地でもあった為、現在でも神仏習合される神宮寺でもあります。

 また、聖徳太子が創建とも伝わり日本でも最古にも分類されております。

 そんな歴史ある古刹をご案内致します!!




▼千体地蔵

千体地蔵 信貴山 朝護孫子寺

 信貴山への山門である「仁王門」前には、創建時期が不明な古い『千体地蔵』が祀られております。

 その名の通りに1000体あるかどうかは分からないですが、ざっと見て膨大な数の地蔵は「千体地蔵」と云われているそうです。

 これは、今回の信貴山に限らず日本の各地にある子供を授ける室町時代から続く信仰の一種で、子供に恵まれない人がお参りし、子供を授かるとお礼に新しい地蔵を造るという信仰です。

 由緒を知って日の明るいうちにみると怖くもなんとも無いですが、暗くなってからみると恐っそろしいですね。

▼仁王門

仁王門 信貴山 朝護孫子寺

 門前には美しく色付いた「もみじ」が植えられる信貴山の山門『仁王門』です。

 元あったものがいつ頃造られたものか不明ですが、宝暦十年(1760)に再建されたものだそうです。

 門をくぐり、境内に入っていきます。

▼開運橋

開運橋

 信貴山の谷間には、大門ダムに囲まれた「大門池」が有ります。

 そこに架けられる全長106mの橋は登録有形文化財に選定される『開運橋』といいます。

開運橋 表

 この橋は熱心な信者であった旧松尾橋梁の社長が信貴山に寄進し、戦前の昭和六年に竣工したものです。

 橋の形式が「上路カンチレバー橋」といい、その形式として現存する日本最古の橋になります。

開運橋 バンジー

▼開運バンジー

 実はココ「開運橋」からは、高さ30メートルのバンジーをする事が出来る様になっております。

 しかし、要予約で9000円と若干・・・結構な金額です。

 
多門天 鳥居

 「開運橋」の見学後、神宮寺である為、寺院にも関わらず神社の神域を示す多門天の扁額が架けられた鳥居をくぐり境内を進みます。




▼絵馬堂

絵馬堂

 境内を進んだ先にある掘っ立て小屋みたいな建物は、安政年間(1854~)に大阪堂島の木綿屋梅蔵が寄進した『絵馬堂』です。

猪

 「絵馬堂」を観て、こんな建物も古いものなんだなぁ~と呑気に撮影をしていると、後ろに物音が!!

 んっ??と振り向くとの一家??いや違う、一家(たぶん父母猪・ウリ坊)が十匹近く居ました!!!

 不味い、られる!!と思った瞬間に一家は山の斜面に逃げてくれて僕は助かりましたが、一歩間違えれば突進され死ななくても、病院送りにされる所でした。

 もちろんですが、現れた瞬間に僕はパニックになっており、咄嗟にシャッターを押すなんて事は出来ず、上の写真は猪一家が逃げてくれた後に未だ心臓がバクバク言いながら撮影した一枚です。

 あとで境内を清掃されている関係者の方にこの事を聞くと、「私も30年ここに居ますが、境内では見たことないです。 来年は猪年だし、来年は良い事が有るかもしれませんね」との事でした。

▼大寅

大寅

 未だ心臓がバクバクいいながら歩を進めた先にある『大寅』の前にやってきました。

 関西エリア以外の人は余り知られておりませんが、この信貴山は「寅」の信仰が有名で、写真の巨大な張子の虎は、信貴山の代名詞ともいえるモニュメント?です。

 これは、関西だから阪神タイガースに肖ってという訳ではなく、開祖である聖徳太子が仏教排斥派である物部守屋を討伐するに際し、必勝を祈願する為に当山に参拝した時に寅の年、寅の日、寅の刻に毘沙門天王が出現されることで御加護を受け勝利出来た事から祀られているそうで、諸願成就・福徳開運・商売繁昌の御利益があると云われております。

 ちなみに、大昔に信貴山には虎がいたと思っている人が関西人にも多いですが、日本に虎が居たのは信貴山が開山されるよりも遥か太古の昔の旧石器時代である2万年前程昔だそうです。

 資源(鹿とかエサ)の少ない日本では、生きれなかったとの事です。




▼赤門

赤門

 これも元あったものがいつ頃のものか不明ですが、寛政五年(1793)に再建という「赤門」です。

▼どっちからでも!!

境内2ルート

 赤門から写真左の本坊側参道を本堂に向かって進めと、朱色の「融通殿」へと向かう事が出来ます。

 ちなみに、右回り左回りの違いだけで、どちらからでも全てをお参りする事が出来ます。

▼聖徳太子象

聖徳太子象

 道中には、当院の開基と云われる『聖徳太子像』があります。

 この彫像は、日本を代表する彫刻家・北村西望作だそうです。

▼宝寿橋

宝寿橋 紅葉

 「融通殿」の前にある、秋には紅葉の風景が美しい『宝寿橋』を通過します。

 この橋の下にある池には、夏になるとホタルが放たれて幻想的な雰囲気になると云われております。

▼成福院

融通殿

▼融通殿

 広大な信貴山の中心部に位置する『成福院』に到着しました。

 この寺院は、信貴山総本山朝護孫子寺の塔頭寺院で建立時期は不明ですが、後嵯峨天皇が御念持佛とされていました「如意融通宝生尊」を本尊に祀っている事から西暦1200年代以降のものと思われます。

 元あった御堂は戦国時代の天正五年(1577)には松永久秀の兵火によって焼失されてしまっており、現在観られるものは、幕末に入ろうとしていた寛政二年(1790)に再興されたものとなっております。

境内

 信貴山の境内を歩いてみて面白い点が、恐らく日本で最も伽羅密度の高い事です。

 信貴山の中腹に所狭しと寺院が建ち並んでおり、10歩も歩けば何かしらの仏教に関するものや神社に関するものが建ち並んでおります。

境内 旗

 石畳の参道、石段を登ったり、下ったりと進みます。




▼玉蔵院

浴油堂

 鎌倉時代に「覚鑁(かくばん)」上人がこの山に参篭された時、毘沙門天から「如意宝珠」という摩訶不思議な玉を授けられと伝わります。

 その玉は、信貴山内のこの場所に蔵められたことから『玉蔵院』と呼ばれるようになったそうです。

浴油堂内部

▼浴油堂

 上の写真は、信貴山内の、塔頭寺院である王蔵院の中で「浴油祈祷」が行われる『浴油堂』です。

 「浴油祈祷」とは、聖天独特のご供養法のことで、密教の修法の中でも最も深秘の法とされています。

境内鳥居

 『浴油堂』での参拝をささっと終え、「玉蔵院」に祀られる『日本一大地蔵』へと歩を進めます。

大仏

 弛んだボディーには少々きつい石段を登りやってきました。

 ここには、昭和八年に建立された『日本一大地蔵』という全長14.54㍍もある巨大な地蔵菩薩が祀られております。

融通堂

 「日本一大地蔵」の正面には、少しボッロちいですが、毘沙門天から頂いたとされる「如意宝珠」が祀られる『融通堂』があります。

 いつ頃からかは不明ですが、ここに祀られる「如意宝珠」は、融通さんと呼ばれだし今に伝わるそうです。

境内

 「日本一大地蔵」への参拝を終え、石段を降り「本堂」方面へと歩を進めます。

境内

 先ほどご案内した「浴油堂」付近から上をみあげると「多宝塔」が見えましたので、本堂への道から少しそれ向かってみます。

寄り道

 多宝塔へは、また石段を登り進みます。




▼多宝塔

塔

 えっこら、えっこら、石段を登り『多宝塔』へ到着しました。

 この塔は、修復されているので新しく見えますが江戸時代の元禄二年(1689)に建立されたもので、祭壇に大日如来が祀られています。

装飾

 「多宝塔」への参拝後、また一旦石段を降り本堂方面へと歩を進めます。

 信貴山内を歩きながら伽羅をよく見ると、汚い言い方ですが金をよっぽどかけたんだぁと思う、見事な造りの伽羅が多いです。

 通常の寺院では見ない、神社等に用いられる装飾も見所の一つです。

▼経蔵堂

経蔵堂

 本堂前にある『経蔵堂』に到着です。

 現在は、修復中の為に中を観る事が出来なかったですが、信貴山の「経蔵堂」には、中央に回転できる経厨子があり、中に仏教のあらゆる法門の経典を集めた「一切経」が納められております。

 その経厨子は、一回転させる毎に「一切経」をすべて読誦したのと同じ功徳があると言われています。




▼本堂

本堂

 これより、ようやく本堂への本堂への最後の石段を登り参拝に向かいます。

 只今の時刻は朝6時という事もあり殆ど人も居ないですが、正月三が日に訪れようものなら歩くのもままならない程、多くの初詣客でごった返します。

本堂内部

 参拝は、本堂裏から入る事になり写真は本堂側面を歩き正面側に向かう途中に撮影したものです。

本堂

 そして、本日のメインディッシュである信貴山の本堂に到着しました。

 写真には納めれなかったですが、本堂内部には「胎内くぐり」と云われる御堂下に彫られた洞窟を歩き参拝を行うスポットが有ります。

 地球の内部にいるような、そんな不思議な感覚になる面白い場所ですので皆様も歩かれては如何でしょうか。

御朱印

 本堂への参拝後、いつも通りスタンプラリー感覚で「御朱印」を頂きます。

本堂前 景色

 本堂前からは奈良県の王子方面を望む大パノラマを楽しむ事ができるので、参拝後、下界を覗いてみます。

境内

 本堂の参拝後、下山し最後に「千手院」を参拝しに行きます。




▼大本山千手院

千手院

 信貴山でも最も古い由緒ある『千手院』に到着しました。

千手院

 ここは、信貴山の住職の自坊(住むところ)とされていた寺院で、約1千年前に命蓮上人が 開壇し、それ以来、毎朝日護摩を焚いて人々の心願を祈願しているそうです。

厄除観音

▼厄除観音

 千手院内にある、この観音堂の創建等は分からなかったですが、ここでは護摩を焚き除厄の祈祷が行われております。

腰掛け石

 観音堂正面左前には、『腰掛け石』という腰を掛けると下の世話にならないと伝わる石があります。

 訪れた参拝客は、将来に備えてか皆様腰を掛けておりました。

くろねこ

▼幸せを招く山寺の黒猫

 当山に訪れる時に調べ、是非とも会いたかった「幸せを招く山寺の黒猫」にも出会う事が出来ました。

 なんでも、出会った人々に幸福を招いてくれるそうですので訪れた際は是非とも探してみては如何でしょうか。

三寅の胎内くぐり

▼三寅の胎内くぐり

 また、寅に肖った『三寅の胎内くぐり』なる可愛い寅の口の中に入る霊場が造られておりました。

 入ってみた感想は、「無理やり何でも作るな!!」です。 

 凄まじいガッカリ感が溢れております。




▼さいごに

寅

 以上で、巨大な虎がいる??奈良の『信貴山・朝護孫子寺』のご案内となります。

 関西でも有数の寺院である信貴山には、厳かな雰囲気を楽しめる沢山の見所がありました。

 皆様も訪れてみては如何でしょうか。

 御精読有難うございました。




▼アクセス

 住所:〒636-0923 奈良県生駒郡平群町信貴山2280−1